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 (11)先に述べたとおり、私たちは三つの段階を経て貴学に研究倫理に反する不正行為を訴え続けてきました。この告発は完全に貴学の研究倫理規定に則したものであるにもかかわらず、貴学は門前払いをするか、無視するという態度に出ました。最後の段階では、内容証明郵便にて「通告書」を直接、学長・理事長宛にお送りしたわけです。
 すると、そのとたんに調査委委員会の発足が告げられ、人選の原案が届けられる展開となりました。4月27日から数えてまる4か月、6月の監査室への通報から数えても2か月半という長期間にわたって、全く私たちの告発を取り上げようとせず、内容証明郵便を受け取って初めて当方ににわかに連絡をするとは、問題の認識の欠如と誠意の欠落を疑います。

 (12)貴学がそのような行動をとった理由は、いただいた文書の中から垣間見えるものです。私あての文書の冒頭には、次のように書かれています。
 「標記の件について、2019年6月21日及び同月24日に貴殿から本学修了生が在学中の2017年度に制作したGraduation Project について『上智大学人を対象とする研究に関するガイドライン』に基づく審査や手続きを経ておらず、研究活動上の不正行為の疑いがある旨の通報がありました。」
 ご覧のとおり、ここには大学院生の指導教授である中野晃一教授の責任が、調査の主題として全く書かれていません。先に言及したとおり、中野教授は単に出崎の形式上の指導教授であったのではなく、学術研究の名を騙って承諾書を詐取しようとした行為の共同正犯であり、しかも私から承諾書のサインを取らなければ研究に着手してはならない、とまで課して、この詐欺行為を先頭に立って推進していたのです。
 貴学学長におかれては、通知を私あてに発信する時点ではすでに内容証明郵便による「通告書」が手もとには届いていたわけですが、それを無視するかのような対応をしています。そのことは、この問題を、卒業した大学院生のみの問題として矮小化し、中野教授の責任を全く不問に付すという態度の表れと断じざるを得ません。だからこそ、よりによって、中野教授の人脈にあることが明白な人物を委員や委員長に選んで、調査委員会を組織したという形だけを作って見せた上で、問題なしという結論を出して終わりにする、という狙いであることは見やすいことです。遺憾なことに、こういうやり方にはそのどこにも、公正性・中立性・客観性を求める学問共同体のリーダーとしての真摯な態度が感じられません。

 (13)私たちは二つの異なる告発をしているわけではありません。事件は一つで、不正行為が疑われる対象者は二人です。6月時点の告発が主に元大学院生を対象としていたという屁理屈をつけるのであれば、直ちに中野教授に関する告発を監査室に対して行います。しかし、それは時間とエネルギーのロス以外の何ものでもありません。「通告書」を正面から検討するのか、あくまで無視するのか、この点に関して明確なご返答をいただきたいと存じます。
 予備知識のない当方には、僅か7日間で異議申立の判断を迫ったのですから、この異議申立への返答はそれと同等ないしそれよりも短い期間で回答するように要求します。私たちは調査に協力することはやぶさかではありませんが、もし明確に忌避した当方の人選に関する異議が無視されるなら、可能なあらゆる手段をもってことの真相を明らかにし、上智大学の責任を追及することになると申し上げておきます。
学長におかれましては、貴学の信用と名誉がかかっていることを十分ご認識いただき、研究者としての真摯で適切な対応をされるよう強く要請いたします。なお、この文書の写しを、上智学院理事長にもお届け下さいますようお願いいたします。

(以上)

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